美容師と理容師の違いは?資格取得後の業種の違いからダブルライセンスにおけるメリット・デメリットも紹介

美容師と理容師は、主に髪の毛を整える仕事です。しかし、業務内容は少し異なるため、それぞれの特徴を知っておく必要があります。どちらか一方の資格だけでなく、どちらも取得してダブルライセンスで働く方もいます。
そこでここでは、美容師と理容師の仕事内容の違いやダブルライセンスで働くメリット、デメリットについて解説していきます。

美容師と理容師どこが違うのか

美容師と理容師の仕事の定義は、少し異なります。美容師の仕事は「化粧、パーマ、結髪などで容姿を美しくすること」とされていますが、理容師の仕事は「顔そりや頭髪の剃りこみなどで容姿を整える」と定義されています。
美容師と理容師は、髪の毛を整えるという面では同じですが、美容師はひげを剃ることや剃りこみを入れられません。一方、美容師の仕事内容は髪を整えるだけでなく、着付けやマッサージを行う場合もあります。どちらも仕事の幅は広く、働くサロンにより業務内容が異なります。

美容師と理容師の就職先

美容師や理容師としての就職先は多いです。具体的にどのようなところに就職できるかを紹介します。

美容師

美容師として働く際は、下記のような就職先があります。

美容院

美容師の国家資格を取得すると、美容院で働けます。美容院は、就職先としてはもっとも多い働き先です。美容院のなかには、髪を整えるだけでなくマッサージやネイル、エステなど、いくつかのサービスを組み合わせているところもあります。

結婚式場

結婚式場で働ける場合があります。新郎新婦のヘアスタイルをきちんと整えるためには、美容師の技術と知識が必要です。結婚式場での仕事は美容院での仕事とは異なり、華やかさを演出しなければなりません。そのため、経験と実績が必要です。
結婚式場で美容師として活躍するには、美容院などでスキルを習得したあとに転職するのがよいでしょう。

ヘアメイク専門店

美容師になると、ヘアメイク専門店で働ける場合があります。ヘアメイク専門店は、ドラマ撮影やファッションショーなどのイベントで必要とされます。撮影会社からヘアメイク専門店にヘアメイクの依頼を行い、ヘアメイク専門店にいる美容師を派遣する形が多いです。
ヘアメイク専門店で働くと違う場所に派遣されることが多いため、現場での拘束時間が長い場合があります。やりがいはありますが、労働環境などはきちんと調べておくのがよいでしょう。

美容エステサロン

美容師として、美容エステサロンで働ける場合があります。美容エステサロンでの業務内容は、美容全般を任されることがあり会社により異なります。美容師の資格のほかに、アイリストやネイリストの資格を持っていると、業務に活かせる場合があります。美容師の仕事だけではなく、複数の仕事を行えると給与が高くなります。

理容師

理容師になると、ひげを剃ることが可能です。美容師では行えない業務もあり、どのような現場で働けるかを確認しましょう。

理容室

もっとも働き先として多いのが、理容室です。理容室で働くには、理容師の国家資格に合格し専門学校の卒業が必須です。美容院ではひげ剃りを行えませんが、理容室ではひげ剃りや頭髪の剃りこみを行えるため、男性の顧客が多いです。ひげ剃りを目的とする顧客も多く、美容院とは少し異なります。

シェービング専門店

理容師として、シェービング専門店で働く方もいます。シェービング専門店は顔だけでなく、全身を対象としている場合が多いです。腕や背中、足などの毛を剃る際は、理容師の国家資格が必要です。
近年は、ブライダルシェービングなどの女性用のシェービング専門店もあります。シェービング以外に頭皮マッサージを行うなど、会社により業務内容は異なります。全身のシェービングを行うには、経験と実績を必要とします。

美容師と理容師のダブルライセンスについて

美容師と理容師のダブルライセンスを取得して働く方もいます。従来までは、両方の資格を取得するにはそれぞれの専門学校を卒業する必要がありました。最低でも4年間学校に通わなければならず、ダブルライセンスを取得する方はそれほどいませんでした。
しかし、平成30年度の法律の改正により、それぞれの学校で習得課程が変更されています。そのため、現在は3年間でダブルライセンスを取得できます。どちらの資格も簡単に取得できるようになり、ダブルライセンスの需要が増えつつあります。
そこで、ダブルライセンスを持っていると具体的にどのようなメリット・デメリットがあるかを紹介します。

ダブルライセンスのメリット

ダブルライセンスを持つメリットはいくつかありますが、ここでは4つのメリットを紹介します。

仕事の幅が広がる

ダブルライセンスを取得すると、仕事の幅が広がります。美容師の方が理容師の資格を持っていると、顔の髭剃りや剃りこみを入れられるため、重要な仕事を任される可能性があります。

知識が広がる

理容師と美容師の両方の資格を持っておくと、知識の幅が広がります。専門的な知識が増えるため、美容師や理容師としての向上心が増すでしょう。

信頼が高まる

美容師と理容師の資格を持っていると、顧客からの信頼が高まります。ダブルライセンスの方はそれほど多くはないため、持っているだけでブランディングになります。髪を切る仕事でプロフェッショナルを目指すならば、ダブルライセンスを目指しましょう。

転職に有利

美容室や理容室のなかには、ダブルライセンスを必要とする会社もあります。そのため、ダブルライセンスをもっておくと転職が有利に働く場合があります。

ダブルライセンスのデメリット

ダブルライセンスを取得するとメリットだけでなく、デメリットもいくつかあります。メリットとデメリットを比較して、ダブルライセンスを取得するかどうかを検討しましょう。

就職時期が遅れる

ダブルライセンスの取得を目指すと、就職時期が遅れます。理容師・美容師の一方の資格だけを取得する場合は、最短で2年で働けます。しかし、ダブルライセンスを目指すと最低3年はかかります。働く時期が遅れるため、早く働きたい方には向いていないでしょう。

資格を活かしきれない

ダブルライセンスを取得しても、資格を活かしきれない場合があります。理由は、ダブルライセンスを必要としている店舗はあまり多くないためです。そのため、ダブルライセンスを取得していても、職場によっては知識を活かしきれない場合があります。

費用がかかる

ダブルライセンスを目指すと、授業料などの費用が追加でかかります。事前に費用がどのくらいになるか、計算しておくことをおすすめします。

美容師と理容師の受験科目や合格率

美容師や理容師になるには、どちらも国家試験に合格しなければなりません。受験科目や合格率はそれぞれ異なるため、試験内容の違いについて紹介します。

美容師の試験内容

美容師の国家試験の合格者は、6割~8割です。国家試験のなかでは合格率が高いため、比較的簡単な試験といえます。毎年1~2万人の方が受験する人気の国家試験のひとつであり、需要は高いです。
美容師の試験内容は実技に加えて、衛生管理や美容理論、物理や化学などがあります。実技では、頭髪にロッドを巻きつける試験やウェーブをかける試験などがあります。

理容師の試験内容

理容師の国家試験の合格確率は、受験者数の5割~7割の方が合格するといわれています。美容師の国家試験と比較すると、理容師の試験のほうが少し難易度は高いです。受験者数も美容師の国家試験とは異なり、理容師の国家試験の受験者数は毎年1,000人~2,000人と少ないです。
理容師の試験内容は、美容師と同様に実技と筆記の試験です。筆記試験では美容師と同様に、美容理論や衛生管理、化学、物理などの基礎知識が出題されます。実技は、カッティングの試験や顔のムダ毛を処理する試験などがあります。

美容師と理容師のどちらを目指すべきか

美容師と理容師のどちらを選べばよいか迷う方が多いです。それぞれ特徴が異なるため、ご自身の特徴と照らし合わせて選ぶのがよいでしょう。

理容師に向いている方

美容師は、ひげ剃りや剃りこみは行えません。したがって、ひげ剃りや剃りこみ業務を行いたい方は理容師を目指しましょう。理容師の就職先は、理髪店で働く方が多いです。

美容師に向いている方

美容師は、美容全般を学びたい方に向いています。美容師の仕事は、エステやネイルなど資格を取得することで仕事の幅を広げられます。男性や女性を問わず多くの顧客が来店するため、幅広い知識と技術が求められます。

美容師と理容師になるために必要な能力

美容師と理容師は共通している業務が多いため、必要な能力も同じことが多いです。どのような能力があると理容師や美容師として活躍できるかを確認しましょう。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力があると、どちらの職でも活躍できます。理容師と美容師の主な仕事は、顧客の希望のヘアスタイルを聞いて髪の毛を整えることです。コミュニケーション力が低いと、要望を上手く聞き出せないため理想の髪型に整えられません。

体力や忍耐力

理容師と美容師は立ち仕事なため、体力が必要です。一日中立ちっぱなしのこともあり、足腰が疲れます。また、髪を切る際は中腰になることが多く、腰痛になってしまう方も多いです。
また希望の髪型にできなかった場合は、クレームをいただくことがあり落ち込むこともあるでしょう。クレームをもらいすぎると精神的にストレスを抱えるため、忍耐力も必要です。クレームをもらった際は、丁寧に対応してポジティブに切り替えることが重要です。

向上心

理容師や美容師で活躍するには、向上心が必要です。向上心がないと毎日同じ業務の繰り返しになり、仕事のやりがいをみつけられません。向上心をもつには、資格取得を目指すことが重要です。働いている分野以外の資格を取得することで、ほかにやりたいことがみつかるかもしれません。
向上心を上げるには、セミナーに参加する方法もおすすめです。美容師や理容師のセミナーが外部で行われているため、参加することで仕事のモチベーションが高まるでしょう。

手際のよさ

理容師や美容師は細かい作業が多いため、手際のよさが求められます。手際がよいと作業を覚えることが早く、スムーズに業務をこなせるでしょう。経験を積むことで難しい業務にも慣れますが、手際がよいほうが覚えるのは早いです。

笑顔

理容師と美容師は、接客業であるため笑顔が必要です。リピート客となってもらうためには、カットの技術だけでなく人間的にも気に入ってもらう必要があります。したがって、会話をする際は笑顔を心がけましょう。無理に営業トークするのではなく、笑顔で世間話をするだけでも顧客と仲良くなれます。

まとめ

今回は、理容師と美容師の違いやダブルライセンスについて解説しました。理容師と美容師に大きな違いはないですが、それぞれ業務内容が異なるため、ご自身の目指したい職を考えて選びましょう。