メイクアップアーティストの将来性は?就職先や業界の課題も紹介!

「メイクアップアーティストを目指したいけれど、果たして需要はあるのか?」、「どのような業界で活躍できるのか?」と疑問に思っている方に向けて、将来性や主な就職先を紹介します。また、将来的にキャリアアップしたい、独立して活躍の幅を広げたい方のために、キャリアアップの流れについても解説しています。
目次
メイクアップアーティストの現状
現在、メイクアップアーティストはさまざまな場で活躍しています。プロダクションに所属して有名人や著名人のヘアメイクを手がけるほか、ブライダルやイベントなどで、一般人向けにメイクをする仕事の需要も増加しています。
また、個人で起業をする人たちが、SNSに宣材写真を投稿するためにヘアメイクを依頼することも少なくありません。
そのほか、高齢化社会の今、注目されているのがメイクセラピーです。メイクセラピーとは、心理学の手法を取り入れたメイクアップのことをいいます。シニアの女性にメイクを施すことで若く楽しかった時代を思い出してもらい、社会性や自信を取り戻すことが目的で、介護の現場で需要が高まっています。
このように、メイクアップアーティストは雑誌やテレビといったマスメディアの世界以外にも、活躍の場が数多くあります。人々の「美」を求める心は、時代が変わっても不変です。人間の心に「美意識」がある限り、メイクアップアーティストの仕事はなくならないでしょう。
メイクアップアーティスト業界の課題
メイクアップアーティスト業界の課題として、一番にあげられるのが「収入の低さ」です。とくに、はじめのアシスタント業務時代は月収が10万円台かそれ以下、ということも少なくありません。経験を積んでメインでメイクをできるようになれば、ある程度の年収は見込めますが、それまでの数年間は金銭的に厳しい毎日になる可能性が高いでしょう。
また、メイクアップアーティストは現場の時間に合わせて仕事をします。会社員のように朝の9時から夕方18時まで、などと勤務時間が決まっておらず、ときには早朝や深夜に仕事をすることもあります。また、撮影などが延長すると、その分拘束時間も長くなります。時間が不規則で拘束時間も長いため、生活リズムが狂いやすい点も大きな課題です。
さらに、仕事道具の運搬や長時間の立ち仕事など、肉体的な負担が大きいのもメイクアップアーティストの悩みのひとつです。
メイクアップアーティストの将来性は?
課題も多く残されているヘアメイクアーティスト業界ですが、今後ますます活動の場が広がり、需要が高まると予想されます。ここからは、今後メイクアップアーティストはどのような場で活躍できるのか、いくつか具体例を紹介しましょう。
個別サービスの需要が高まる
今後、ますます需要が高まると予想されるのが、個人向けのヘアメイクサービスです。しかし、現状の知識や技術に満足していては、将来的な活躍は期待できないため注意しましょう。
今ではインターネットを通じて、だれでもメイクに関する知識や最新情報を手に入れられる時代です。プロ並みの知識や技術を持っている一般人も多く、SNSで情報発信する人も少なくありません。
そのような人たちと一線を画するために必要なのが、+αの何かです。たとえば、メイクのノリが大きく変化するケアやマッサージなどの技術を取得すれば、「プロのメイクアップアーティストから、化粧が映えるケア方法を学びたい」という個人のお客様を確保できます。
また、ファッションやライフスタイルなどをトータルでアドバイスできる知識とセンスを身につければ、活躍の場はマルチに広がります。
「さすがプロ」と思ってもらえるような+αの何かを取得して個人のお客にアプローチすれば顧客拡大につながり、将来性が高くなるでしょう。
特殊メイク技術の拡大
現在ニーズが高まっているのが、特殊メイクアップアーティストです。特殊メイクとはシリコンやラバーなどの特別な素材を使用してモンスターの大きなマスクを作成したり、人間の顔や体にメイクを施し、まったく別の生物に変身させたりするメイク技術です。
特殊メイクアップアーティストとして活動するには一般的なメイク技術以外に、専門的なスキルや知識を要します。CGではない特殊メイクは、日本映画界やテレビ、舞台など、さまざまなシーンで需要が高まっています。しかし、まだまだ特殊メイクのスキルを持ったメイクアーティストは多いとはいえません。映画や舞台など、芸術の世界で活躍したいと思っている方は、今から特殊メイクについてしっかり学んでおくとよいでしょう。
医療メイクにも注目が集まる
医療メイクとは、ケガや病気でできたしまった傷や傷跡などをカバーするメイクのことで、メディカルメイクとも呼ばれています。
目立つ傷や皮膚の変色があると、周囲の視線が気になって社会復帰が難しくなったり、なかなか外出できなくなったりする場合があります。医療メイクはそのような人たちの悩みをメイクで解消し、社会復帰を後押しする社会的に意義がある仕事です。
医療メイクは日進月歩を続けているため、今では傷跡や皮膚の変色をほとんど目立たなくできます。今後もさらに発展が期待できるでしょう。
現在、医療メイクは大学病院や皮膚科、美容外科などで重宝されています。医療メイクアーティストが常駐している医療現場はまだまだ少ないですが、医療メイクの認知度が高まることで、医療メイクアーティストを常駐させる医院も増えると予想されます。今のうちに医療メイクについて学んでおいて損はないでしょう。
メイクアップアーティストの職場環境の変化

インターネットの普及により、だれでも自分の作品や想いを世界に発信できるようになりました。メイクアップの世界も例外ではなく、SNSで自身のメイク作品を投稿している人も少なくありません。
なかには早くからファンを獲得し、フリーランスのメイクアップアーティストとして活動している人もいます。もちろん、プロのメイクアップアーティストとして活動するために、知識とスキルは欠かせません。しかし、ひと昔前のように、一人前のメイクアップアーティストになるために厳しい修行を積むのは当たり前ではなくなりました。アシスタント業務につかずとも、プロのメイクアップアーティストとして活躍できる道が開けるようになっています。
メイクアップアーティストの就職先
ここからは、メイクアップアーティストの主な就職先をピックアップして紹介しましょう。
プロダクション
メイクアップアーティストの就職先のひとつが、ヘアメイク専門のプロダクションです。メイク専門のプロダクションでは、テレビや雑誌などに出演するタレントのヘアメイクを担当します。
担当するタレントのイメージや出演するテレビや、雑誌の雰囲気に合わせたメイクを施すスキルが求められる仕事です。実力が認められればタレントから指名を受けるなどして、継続的な仕事につながるでしょう。また、タレント専属のメイクアップアーティストとして活躍できるかもしれません。
化粧品会社
化粧品会社も、メイクアップアーティストの就職先としてあげられます。化粧品会社に就職した場合、主な仕事は化粧品の販売です。また、百貨店の化粧品売り場にてPR目的でお客様に自社のアイテムを使用してメイクを施したり、新商品の開発に関わったりすることもあります。そのほか、イベントでモデルや芸能人にメイクをする機会もあるでしょう。
ブライダル会社
ブライダルサロンでは、事前にお客様と打合せして決めたヘアメイクと合わせて、ドレスや着物の着付けを行います。また、結婚式当日は新郎新婦に寄り添い、涙などでメイクが崩れたときに手直しをすることもあります。
お色直しを何度も行う披露宴では、決められた時間でヘアメイクや着付けを行わなければなりません。そのため、短時間で丁寧な仕事ができる、非常に高いスキルが要求されるでしょう。
美容室
メイクアップアーティストとして、美容室に就職する人も少なくありません。最近の美容室はトータルビューティーサロンとしてヘアセットやメイク、ネイルを施す美容室も増えているため、メイクアップアーティストの需要も増加しています。
また、結婚式場と提携している美容室の場合、平日は美容室としてお客様のカットやヘアセットを行い、休日は式場でヘアメイクや着付けを行います。
また、エステサロンも併設している美容室では、お客様に似合うメイクを提案するのもメイクアップアーティストの主な仕事です。
メイクアップアーティストのキャリアアップの流れ

メイクアップアーティストは、どのようにキャリアを重ねていくのでしょうか。一般的な流れを紹介します。
STEP1:アシスタントとしてノウハウを学ぶ
SNSでファンを獲得したことがきっかけで、メイクアップアーティストとしての道を歩む人が増えていると前述しましたが、多くの人はアシスタント業務からキャリアをスタートします。アシスタント業務では先輩スタッフがスムーズに仕事ができるようサポートをしつつ、技術や知識を学んでいきます。
また、アシスタント業務と並行して作品撮りを行うことも大切です。モデルにメイクをして撮影した作品を増やすことで、スキルアップにつなげます。
STEP2:スキルや資格を取得する
資格を取得すればその分活躍の場が広がるため、早期のキャリアアップにつながります。メイクアップアーティストとして必須の資格といわれているのは、「美容師免許」です。メイクアップアーティストは、メイクだけでなくヘアセットを担当する機会も多いです。そのため、美容師免許を持っていると就職や転職時に有利に働くでしょう。なかには、美容師免許資格取得を採用条件としているお店もあります。
美容師免許は国家資格にあたるため、取得するには厚生労働省が認可している美容系の学校に通い、試験に合格しなければいけません。
このほか、民間資格であるIBF国際メイクアップアーティスト認定試験、JMA日本メイクアップ技術検定試験を取得しておくと、幅広い知識やスキルが身につきます。この3つの資格を取得しておけば、一人前のメイクアップアーティストとして認められるでしょう。
しかし、より技術やスキルを向上させたいのであれば、そのほかの資格を取得することもおすすめします。たとえば、美容系の専門学校で化粧品検定やネイル検定、ビューティーコーディネーター検定など、美容に関するさまざまな資格を取得しておけば、美容の仕事をトータルで任せてもらえます。そのほか、サービス接遇検定を取得すれば、お客様へ質のよいサービスを提供できる人材であると認識してもらえるでしょう。
STEP3:フリーランスやサロンの立ち上げ
キャリアを積み、お客様からの指名が増えてくれば、独立してフリーランスになったり、サロンを立ち上げたりするタイミングです。とはいえ、メイクアップのスキルと知識さえあれば誰でも独立できるわけではありません。
独立すれば、個人でさまざまなお客様に対応しなければいけないため、あらゆる年代の方とスムーズにコミュニケーションを取れる対応力が求められます。
また、フリーになると遅刻や欠勤をしても代わりのスタッフはいません。常に万全の体調で仕事ができるように自己管理能力が必要ですし、予定をきちんと組むためのスケジュール管理能力も必須です。
時間を守る、ダブルブッキングをしないなど、社会人として当たり前のことをきちんとこなしてこそ、お客様から信頼されるメイクアップアーティストになれるのです。
また、呼ばれたらすぐに向かうフットワークの軽さや人脈の広さも重要です。そのためにも、普段から人付き合いは大切にしておきましょう。さまざまなところでメイクアーティストであることをアピールしておけば、思わぬつながりから仕事がもらえるかもしれません。
このように、独立するためにはメイクアップ以外にもさまざまなスキルが必要なのです。
海外進出という手も
世界で活躍するメイクアップアーティストになるために、海外進出するのもひとつの方法です。活躍の場を海外に移すことで、肌色や肌質が違う人へのメイク術が学べるため、人種を超えた「その人に似合うメイク」を施すスキルが身につくでしょう。
また、アメリカやフランスといった美容大国へと進出すれば、最先端の知識や技術が学べます。それぞれの国で異なる価値観にインスパイアされ、自分なりのメイク術が確立できるかもしれません。さらに海外でのコネクションができるため、活動の幅が大いに広がるでしょう。
とはいえ、海外進出するには、やはり日本で基本的な知識と技術を身につけておく必要があります。必要最低限のコミュニケーションがとれる語学力も必要とされるでしょう。
まとめ
メイクアップアーティストの仕事は、芸能界以外にも結婚式や成人式といったイベント時のメイクアップ、化粧品会社での商品開発など多岐にわたります。また近年では、医療メイクや特殊メイクといった、より専門性の高い仕事の需要も増えています。
これからメイクアップアーティストとして活躍したいと思っている方は、メイクアップ+αのスキルや資格を身につけると、それが大きな武器になるでしょう。また、技術や知識を身につければつけるほど、活躍の場が広がります。より高みを目指して、大きなキャリアアップを目指しましょう。